- ハリネズミが頻繁に体をかいている
- フケが気になるほど落ちていたり、針も良く抜け落ちている
- ハリネズミに食欲や元気がない
ハリネズミがいつもより多く身体をかいていて、かゆそうにしていたり、元気もなく食欲が落ちていませんか。
それはもしかしたらヒゼンダニに寄生されてしまっていることが原因で起こる皮膚の病気かもしれません。
ハリネズミがよくかかる病気の1つにダニが肌に寄生することで発生する疥癬という皮膚の病気があります。
今回はそのハリネズミがよくかかる病気の1つである疥癬について、詳しく解説していきます。最近ハリネズミを飼い始めた人は特に注意する必要がありますので是非ご一読ください。
もくじ
ハリネズミに最も多い病の1つであるダニ症(疥癬)
疥癬とは
ヒゼンダニが皮膚に疥癬トンネルと呼ばれる穴を掘り、メスがその中に卵を産み付けるということを繰り返し寄生する皮膚の病気です。
人間や他のペットに対しても同じく疥癬という皮膚の病気の事例はあるのですが、疥癬を引き起こすヒゼンダニには多くの種類があり、ペットのハリネズミにはCaparinia tripolisやNotoedres murisがよく見られます。
人や犬・猫などのペットにも疥癬は発症する
疥癬という皮膚の病は、ハリネズミのような小動物だけではなく、犬や猫、人にも発症する疾患しとして知られています。
疥癬はヒゼンダニ(疥癬虫、Sarcoptes scabiei)が皮膚の最外層である角質層に寄生し、人から人へ感染する疾患である。非常に多数のダニの寄生が認められる角化型疥癬(痂皮型疥癬)と、少数寄生であるが激しい痒みを伴う普通の疥癬(通常疥癬)とがある(表1)。近年わが国では病院、高齢者施設、養護施設などで集団発生の事例が増加しており、疥癬感染防止対策マニュアルの作成が行われているが、予防、治療法などに混乱があり、医療および介護関係者の間で問題となっている。
ハリネズミにダニが寄生しているときの症状
よく寄生される場所は、針の付け根の皮膚や顔まわりの比較的柔らかい部分です。ヒゼンダニが寄生していたら以下のような症状がみられます。
- フケが落ちる
- 毛が抜け落ちる
- 針が抜け落ちる
- 耳がかさぶた状になっている
- 食欲が落ち、元気がなくなる
- 顔に粉がふいたように白っぽくなる
寄生の状況がひどくなっていると激しいかゆみに襲われるため、ハリネズミが身体を異常なほどかいているような仕草を続けている場合、疥癬の可能性はかなり高いといえます。
ダニが寄生しているときの特徴はよく観察していれば分かりやすいですが、はじめてハリネズミを飼う人が正常ではない状態を見抜けるかどうかが難しいところでもあります。
ハリネズミがダニに寄生される原因や場所
ハリネズミにダニが寄生しやすいケース
- ハリネズミをペットショップから迎えた場合
- 海外から輸入されたハリネズミを迎えた場合
- ハリネズミを屋外で散歩させた場合
これらから分かるように、屋外での散歩時にダニが付いてしまう以外は、ハリネズミを迎えてからすぐのタイミングで発症しやすいのです。
ハリネズミをペットショップから迎えた場合
ハリネズミブリーダーやエキゾチックアニマルの専門店でない限り、普通のペットショップでハリネズミは販売されていたとしてもまだまだ生きものとしての認知度は低く、ハリネズミを飼育することや病気に関する知識が乏しい場合があります。
そのようなペットショップで飼育されているハリネズミにダニが寄生されているにも関わらず、販売されているケースが該当します。※ハリネズミがダニに寄生されていること自体気づいていない。
また、基本的にはハリネズミ1匹ずつ隔離されて飼育されているとは思いますが、ペットショップのような多くのハリネズミが狭い空間に一緒にいる環境であれば、1匹でもダニに寄生されているハリネズミが入ってくれば集団的に感染してしまいます。
海外からの輸入されたハリネズミを迎えた場合
ハリネズミは海外から輸入されるケースは少なくありませんが、その場合日本ほど衛生的な環境で育てられているとは限りません。
日本で生まれ、ブリーダーなどに育てられたハリネズミに比べると海外から輸入されたハリネズミの方がダニが寄生している可能性は高くなります。
ハリネズミを屋外で散歩させた場合
ハリネズミを屋外に連れていき、散歩させることについては賛否両論ありますが、この屋外への散歩のときにダニが付いてしまう可能性があります。
屋外の散歩のあとにハリネズミが身体をかゆそうにしている、屋外の散歩のあとに疥癬が再発したなどの話はチラホラ聞こえます。
とはいっても、因果関係は特定することが難しいです。外部のダニや寄生虫などと接触する可能性を少しでも排除したいのならば、屋外での散歩は控えるべきでしょう。
飼育しているハリネズミにダニが寄生してしまった人の体験談
最初気がついた症状は:
購入時から顔や耳の中やお腹にきな粉のような粉がふいていて、針の間にはフケのようなかさかさがありました。抜ける針も多かったです。目も目やにがついたみたいで、小さめでした。
症状についてコメントがあれば:
痒がって、体を掻くたびに針がポロポロ抜けていて、ひどい時は1円玉サイズに皮膚ごと剥げることもありました。体重も少なく、オスなのに生後1年たっても350グラム程度でした。
最初気がついた症状は:
顔を見たとき、数ヶ所引っかき傷があり、耳もカサカサしてカサブタのようなものがあった。たまに、体(お腹)もかいているようだった。特に、フケは出ていなかった。
症状についてコメントがあれば:
耳がカサカサして、よくかいていた。顔の毛も少し薄いような気がした。食欲もあまりなく、そのせいかあまり活発にうごくような様子はなかった。
最初気がついた症状は:
ペットショップからやって来たとき、フケが多いのは気になっていました。その時点で病院でダニ検査をした時には何も検出されませんでした。
症状についてコメントがあれば:
半年くらい後、肌がかさぶた状になりだし、針が抜け始めました。針が抜けた肌の部分が盛り上がったように見えました。他に2匹ハリネズミがいますが、他の子に比べて頻繁に掻いている様子でもありませんでした。
飼育しているハリネズミにダニが寄生してしまった人の体験談のまとめ
一口にハリネズミにダニが寄生しているといっても症状は様々であることが分かりますね。ただ、共通している症状もあり、
- 身体をよくかいている
- 体重が少ない(食欲があまりない)
- フケが多い
- 針が抜ける
なかなかハリネズミの飼育初心者では、異常に気づくことが難しいかもしれませんが、日頃からよくハリネズミのことを観察し、小さな変化でも感じることが出来ることが早期発見に繋がります。
ハリネズミがダニに寄生された場合の対策や治療方法
ハリネズミにダニが寄生しているか目視で確認できる
ダニがハリネズミに寄生しているかどうかは目視で確認することはなんとかできるぐらいの大きさはあります。目を凝らしてみてみると動いている姿を見つけることができるかもしれません。
ただ、ダニの大きさはかなり小さいので通常はフケや皮膚の一部を採取して顕微鏡等で確認します。
これらは動物病院にハリネズミを連れていき、診察をしてもらう際に確認してもらえるので、飼い主側が特に調べたりする必要はありません。
ハリネズミにダニが寄生していた場合の症状が出ているかどうかしっかり観察し、診察時に詳しく伝えることが大切です。
ハリネズミにダニが寄生していた場合の治療の流れ
飼育しているハリネズミにダニが寄生しているような症状やハリネズミの体調に違和感を覚えたら動物病院につれていき診察してもらいます。
ダニが寄生している場合の症状は分かりやすいため、少しでもその兆候があれば動物病院で検査をしてもらえます。通常、ハリネズミのフケや皮膚の一部を採取し、顕微鏡で確認します。
ハリネズミにダニが寄生していることが確認されたら駆虫剤を注射したり、肌に滴下することで駆虫します。すでに皮膚にあるダニの卵には駆虫剤は効果がないため、一定の期間を開けて3~4回定期的に投薬することで治療します。
ダニ、またはダニの卵がケージ内や飼育グッズに付着している可能性があるため、すべてを洗浄・掃除し清潔にします。どのような床材を使用していても、一度すべて破棄し、新しいものに入れ替えたほうがいいでしょう。
1度ハリネズミに駆虫剤を投薬してから、次の投薬までにおおよそ7~14日の間隔で投薬し診察を受け続けることでしっかりと治療できます。
ハリネズミに寄生したダニを駆除するために病院でかかる治療費用
ハリネズミに寄生していたダニを取り除くための治療の流れが分かったところで、実際にかかる費用について記載されているサイトがありましたので、ご紹介させていただきます。
初回治療・診察分
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・診察料:1700
・鎮静(麻酔):1500
・顕微鏡検査:500
・ダニ駆虫剤注射:600
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計4300
税込4508
3回目
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・再診料:1000
・ダニ駆虫剤注射:600
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計1600
税込1648
慣れないハリネズミ・うに丸さんによると初回の診察には診察と治療の両方を行うこともあって料金が高くついているようです。
ハリネズミは動物のなかでも特に臆病で警戒心が強いので、診察の際にもよっぽど人に慣れている子以外は、麻酔を使用して診察・治療を行います。
日常的に人に慣れるよう触れ合うことができていれば、診察などで麻酔を使う必要がなく、ハリネズミに余計な負担がかかることも少なくなるかもしれませんね。
ハリネズミにダニが寄生しないように予防する
先述の通り、ハリネズミにダニが寄生してしまう場所は外部の環境がほとんどです。言い換えれば、通常家庭内で飼育されているハリネズミがダニに寄生されることはありません。
つまり、ダニに関していえば衛生的なペットショップやブリーダーからハリネズミを迎えることが一番の対策となります。
では、日常的なシーンでは気にすることはないのかというと、半分正解で半分不正解です。
注意しなければいけないのは二匹以上ハリネズミを飼う場合です。追加で迎えるハリネズミにダニが寄生していれば、家庭内で既に飼っているハリネズミにも感染してしまう危険性が高いため気をつけなければいけません。
具体的な対策としては、ハリネズミを迎えてから健康チェックを十分に行うこと。ペットショップで飼育されている時点で確認することができれば尚良いですね。
まとめ
ひとまずどのような場所からハリネズミを迎えるにしても、ハリネズミを迎えてから数日間は健康面に関して注意深く観察しておきましょう。
はじめてハリネズミを飼育する方にとっては、何が異常なのか判断がつきにくく発見が遅れてしまいがちなので観察した結果、先述したダニが寄生しているときの症状がハリネズミにみられたらすぐに動物病院などの専門家に相談することが大切です。
ハリネズミとダニに関するFAQ
疥癬ダニは人にうつる?
犬やタヌキなどの動物がかかる疥癬が人に感染した事例はありますが、かゆみなどの症状があったとしても皮膚内で繁殖することはないため一時的な寄生で終了します。